ネットで「女性」に売る、なんて聞いて、「またか…」と思ったWebライターやWebマーケッターの方は、きっと勉強熱心な方なのだと思います。

「女性目線で考える」ということは、セールスの世界ではよく言われていることです。

しかし、実践できていると自信を持って言える人は、男性の方はもちろん、女性の方でもなかなかいないのではないでしょうか。

私も関係する書籍を読んだり、セミナーを受けたりしていますが、うまくできている感じはしません。

理由はなんとなくわかっていて、具体的にどうしたらいいのかイメージできないのですよね。

例えば、「男はスペックで買う、女は感覚で買う」というようなこともよく言われています。

スペックで買ってもらう方法は簡単ですよね。従来品と比べてもらえればいいだけです。
でも、感覚ってなんでしょう。よくわかりません。

この本はそんな、言語化しにくい女性の感覚を論理的に解説しつつ、具体的イメージを持って、彼女たちに響くセールスライティングができるようになるヒントを与えてくれる本です。

この本を読んでみて、勉強になった点、新たに気づいた点などをレビューしたいと思います。

本書と著者について

ネットで「女性」に売る 数字を上げる文章とデザインの基本原則 谷本 理恵子 著

【小さな会社でも実践できる! 売上を伸ばすノウハウ】

インターネット上で「女性向け」の商品・サービスを「売るため」の、文章とデザインのノウハウを伝える書籍。女性に商品やサービスを売りたいのであれば、「女性に響く」文章の書き方、デザインの見せ方を取り入れる必要があります。本書は、その書き方・見せ方の極意を余すことなく伝えるものです。

本書の中で語られる文章やデザインのノウハウは、売るための文章の専門家「セールスコピーライター」であり、通信販売業界などの現場で活躍するマーケッターでもある著者が、経験と実績からたどり着いた女性特有の考え方や購買心理・購買行動を汲んだもの。女性に響く文章・デザインだけではなく、ファンやリピーターになってもらうための仕組みづくりなどにも踏み込んでいます。

情報や物が溢れる現代では、どんなに素晴らしい商品でも、作っただけで自然に売れ始めるなどという奇跡は起こりません。売るためには、商品の「本当の魅力」を正しい方法で、買い手側にキチンと伝える努力が必要不可欠です。テスト・マーケティングなどに大規模な予算を割けない小さな会社でも実践できる、具体的で効果的な方法がたっぷり詰まっています。

〈こんな方にオススメ〉
・女性向けの商品やサービスの企画・販売・販促を担当する方
・ECサイトや自社サイトのマーケティングを担当する方
・女性向けの商品やサービスを扱うアフィリエーター

〈本書の構成〉
プロローグ(はじめに) シンデレラに物を買わせるには?
第1章 女性が見たいもの、見たくないもの
第2章 シンデレラが憧れる世界をつくる
第3章 女性をトリコにする文章の秘密
第4章 魔法がとけると買ってもらえない
第5章 買い物はいつでも、どこでも楽しい
エピローグ(終わりに) 「本当の価値」を正しく伝える力

内容(「BOOK」データベースより)
小さな会社でも実践できる!売上を伸ばすノウハウ。女性の購買心理を汲んだ「書き方」「見せ方」の極意!

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
谷本/理恵子
セールスコピーライター。1977年、大阪生まれ。関西大学法学部卒業。ダイレクト出版認定セールスライター。インターネット通販の運営責任者として4社6年にわたり、多様なジャンルの実務を経験。独立後は「無理なくリピート購入されるメール」や「同梱資料」の制作などを請け負い、圧倒的な実績を叩き出す。後進ライター養成のための講座や一般向けのセミナー開催なども多数。株式会社グローアップマーケティング代表取締役。泉佐野商工会議所会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

参照:Amazon.co.jp

セールスコピーライターとはただ「書く」だけでなく、商品やサービスが持っている魅力の中から、お客様の心に響く「本当の魅力」を見つけ出し、それをわかりやすい「メッセージ」にする仕事です。
また、場合によっては、「誰にどうやって売るのか」というマーケティングの部分を担い、売上という結果に関わる「現場のマーケッター」でもある、と著者は言っています。

前書きによると、著者は数少ない女性セールスライターとして、「女性に響く」書き方や見せ方を追求してきました。
そして、過去10年に渡り、様々な女性に粘り強く取材を重ね、彼女たちの購買心理を探り当てていくということもしてきたそうです。
その中には、「女同士だからこそ聞き出すことができた欲求」「同性でなければ理解しにくい言葉にならないモヤモヤした感情」も多くあったとあります。

しかし、ビジネスの場では、そういった「女性たち特有のリアルな購買心理」を、男性にもわかりやすく、女性にも違和感なく、言語化しなければいけません。

その方法を著者が試行錯誤した結果、たどり着いた答えが、この本に書かれていることなのです。

シンデレラの世界から女性の現実を知る

この本では、例えに「シンデレラ」がよく使われます。
「シンデレラの世界」は女性たちの憧れであり、欲求や心理に結び付いた現実でもあります。

憧れ、はわかりますよね。きれいなドレスを着て、立派なお城でかっこいい王子様と結ばれるのです。
キラキラしていて、トキメクものがいっぱいで、なによりかわいらしい。

しかし、現実、と言われてもピンときません。
なにしろ、彼女の苦境を救うのは「魔法」です。
現実というのならば、シンデレラ自身が努力して苦労を乗り越えるというお話のほうがリアリティがあるというものではないでしょうか。

ですが、男性と女性では、「見えている現実」が違うのです。

男性の目線では、いじわるな継母らにこき使われているシンデレラがスタートで、王子様と結ばれて幸せになるというのがゴールです。

一方、女性目線では、スタートもゴールもありません。
王子様と幸せに暮らしているシンデレラこそが「本来あるべき姿」で、継母らにいじめられているシンデレラは「何かが間違っている状態」でしかないのです。

女性たちはこの「何かが間違っている状態」から「本来あるべき姿」に戻ることを欲しているのです。

「無いものを追い求める」のと「失くしているものを取り戻す」では、ニュアンスが違ってきますよね。

失くしているものを取り戻すのに、「解決手段」は必要ありません。必要なのは「きっかけ」だけ。だからシンデレラには「魔法」をかけてあげるのです。

女性は悩んでいない

「女性に売る」のに解決手段は必要ない、と書きましたが、それに関係して、自分の思い込みに気づかされた箇所があります。

ランディングページ(訪問者のアクションを誘導することに特化した1ページで完結するWebページのこと)などで商品やサービスを案内する際、よく使われるのが「悩みを解決する」という切り口ですが、著者は、そもそも女性は悩んでいないのだと言います。

女性向けの商材で、「悩みを解決する」代表格といえば、ダイエット商品でしょうか。

特に、外食が増える大型連休の後だとか、薄着になる夏が近づいてきた頃だとかに、「痩せなきゃ」と言い出す女性は多いですよね。

しかし、女性たちは口で言っているほど、「自分は太っている」とは思っていません。
実際にフィットネス機器やサプリメントなどを購入するという行動を起こしていたとしても、「ちょっとぽっちゃりしてきただけ」くらいが本音です。

そういえば、恋愛系のエピソードでこのような話を聞くことがあります。

仕事の愚痴を恋人に話す女性。
こういった場面で、「じゃあ転職すれば」などと具体的解決策(?)を述べる男性はモテない。女性にはただ「大変だったね」と共感してあげるだけで良い。と。

この話なら、「ああ…、女ってそうだよね…」と納得します。

だったら、なぜ、「物を買う」時だけ、彼女たちは真剣に悩みを解決したいと思っているはずだ、などと思い込んでしまうのでしょう…!

「物を売る」時だって、女性たちに必要なのは共感してあげることで、悩みを解決できるような提案をするなんてむしろ余計なお世話なんじゃないかと、考えてしまいました…。

現実を見ているからこそ現実を見せるな

このように書くと、「女性は現実を見ない」などという印象を受けるかもしれません。
実際、私も途中までは読んでいてそう感じました。

しかし、逆なのです。

女性は日常を過ごす上で、たくさんの現実にさらされています。

仕事、育児、家事、お金のこと。男性よりもずっと細かなところまで見えていて、疲れ切っています。
だからこそ、買い物という非日常のキラキラした時間に、現実に引き戻してはいけないのです。

そして、一度魔法が解けてしまったら、彼女たちは戻ってきてはくれません。

ですので、私たちは「シンデレラの世界」を作り上げ、より長く「理想の世界」に浸ってもらえるようにする必要があります。

つまり、「商品」ではなく「夢」を売ることこそが、「女性に売る」ということなのではないでしょうか。

まとめ

「女性に売る」からと言って、特別なことをしろ、とはこの本には書かれていません。
「ベネフィット(顧客が商品から得られるメリット)を押し出す」とか「リピーター施策に重点を置く」というようなことも書いてありますが、これは老若男女問わず、マーケティング全般で言われていることですよね。
ただ、女性たちが「商品を購入する」ということについて、求めているものや、そこに至るプロセスが違うので、アプローチも変えていかないといけない、ということを述べているのです。

明確な答えも書かれてはいません。
重要なのは、地道な、リサーチとテスト。
これもまた、おおげさなことではなく、身近な女性に聞くというだけでも違ってくることなのではないでしょうか。

女ゴコロはよくわかりません。この本を読んでも、その辺りはいまいち納得がいっていないままです。
ですが、頭では理解できる程度には体系化してもらいました。ヒントも多くあります。全てはわからないままでも、勇気を出して、一歩踏み出すには十分ではないでしょうか。

残りは自分で実践して、答えを出すことなのだと思います。